隈取とは、歌舞伎の化粧方法の一種。普通の舞台化粧の上に筋やぼかしを強く描くことで、役柄の正確をより強調するために使われる。
隈取のはじまりは元禄(17世紀末)のはじめころで、享保年間(1716-36)にほぼ完成したといわれるが、現在の形になったのは明治に入ってからで、9世市川団十郎、5世尾上菊五郎が作り上げた。
赤を主体にした隈取は善を表し、荒事の立役(助六、弁慶、五郎など)、道化のような敵役(朝顔仙平、鯰坊主など)、善意の化身(忠信、獅子)などに使われる。
一方、藍や茶を主とした隈取は悪を意味し、実悪(黒主、入鹿、時平など)、怨霊(道成寺の後ジテなど)、亡霊(知盛など)、害をなす鬼畜(土蜘蛛、鬼女)などに用いられる。しかし、隈取には基本の形はあるものの、俳優が顔立ちや好みに合わせて細部の形や色を変えていくので、その種類は無限といってよい。
人情浄瑠璃の人形の首(かしら)でも隈取をしているが、これは歌舞伎から逆輸入されたものである。